第9回現象数理若手シンポジウム報告
 「セルオートマトンは
   現象数理学の武器となりうるか?」
        のコーディネートを担当して

 私の個人的な考えとして、セルオートマトンによる数理モデル化も、実際の現象解明・理解のための強力な武器として、利用できるものと考えています。しかし、セルオートマトンによる数理モデル化の弱点として、その離散力学系を厳密に解析するための数学は何か?という大きな課題もあります。この課題にチャレンジし解決の糸口を探っていく、あるいは、厳密な解析手法に乏しい状態のセルオートマトンから現象数理学にどのように貢献できるか、といった意識を持って進めて行くシンポジウムにしたいと思い、「セルオートマトンは現象数理学の武器となりうるか?」と問いかける形のタイトルを付けさせていただきました。ご講演いただいた先生方は、理学(数学)と工学(機械)の双方の分野からお招きしました。理学サイドでは「超離散化法」と「厳密解の導出」という二つのキーワードを設け、解決の糸口となりうる数学に関するご講演をしていただき、工学サイドでは「セルオートマトンからの社会貢献」ということも考え、現場への応用研究について動画や具体例を交えてご講演していただきました。これらのご講演においては、初学者でも容易に理解できるようにご配慮いただきまして、先生方には大変感謝しております。本シンポジウムを終えて、現場で利用されている工学的なセルオートマトンと数学の対象としてのセルオートマトンの間には、両者を直接つないで新しいものを生み出すという意味では、まだ埋めなければならない大きなギャップがあることを改めて感じました。しかしそれ以上に、本質を捉えながらも、このギャップを埋めることのできる”バランスの良い”セルオートマトンモデルを構築していく重要性や、セルオートマトンから得られた知見を微分/差分方程式系へとフィードバックさせることで、手間のかかる作業に基づく解析をスマートに進めることが可能となる汎用性にも気付くことができ、大変有意義なシンポジウムとなりました。最後に、講演・資料提供を快くご承諾いただきました6名の先生方、シンポジウム開催の貴重な機会を与えていただきましたグローバルCOE拠点リーダー三村先生をはじめとする先生方、準備に当たり様々なご協力をいただいたグローバルCOE推進事務室の皆さま、ポスター作成のアドバイスから当日の進行までサポートしていただいたPDの同僚の皆様に感謝を申し上げます。

文責:友枝明保(明治大学)