* Abstract *
◆ 大浦宏邦(帝京大学)

 多人数の協力行動は、それにただ乗りをするフリーライダーが侵入しやすいため一般に不安定である(社会的ジレンマの存在)。ただ乗り行動に罰(サンクション)を与えることができれば、フリーライダーを抑制できるがそのためにはフリーライダーを監視するコストや、実際に罰を与えるためのコストが必要になる。これらのコスト負担を避けようとする二次のフリーライダーが存在するとサンクションの提供が不十分となり(二次ジレンマの発生)、一次のフリーライダーの抑制もできなくなってしまう。一方、集団が複数存在する場合には、集団構造が存在しない場合に比べて協力的行動をとるプレーヤーの平均利得が若干増加する(集団選択の効果)。これは一般には協力者の平均利得をフリーライダーの平均利得より大きくするほどの効果はないが(弱い集団選択の効果)、サンクションの提供者の平均利得を二次フリーライダーの平均利得より大きくできる場合が存在する。本報告では、このような場合にはサンクションを提供する戦略が進化し多人数の協力が維持されうることを簡単なシミュレーションを用いて紹介する。