* Abstract *
◆ 堀内史朗(明治大学)

 これまで社会学が最重要課題として取り組んできた問いとは、社会秩序はいかにして可能か、というものである。社会的ジレンマなどで考えられているような、同じ効用関数を持つ人々が裏切りではなく協力するのに必要な条件を明らかにするだけでは、この原初的な問いを克服できたとは言えない。本研究では、価値観などが互いに異質な人々が、その異質性を乗り越えて協調するためにはどのような仲介者の働きが必要なのかを、Schelling (1971)、Axelrod (1997)という二つの先行研究を元に発展させたエージェントベースモデルによって分析する。筆者自身のフィールドワークから、そのモデルが示唆する可能性について考察する。エージェントベースモデルとフィールドワークの相補的な研究によって、社会秩序研究に新しい枠組みを持ち込むことを試みるものである。