第5回現象数理若手シンポジウム 主旨
 「人類進化への数理的アプローチ」

 近年、ラミダス猿人に関する詳細な研究や、ネアンデルタール人ゲノムの解析などによって、人類がチンパンジーとの共通祖先から分岐して以降の進化の道筋に関する知識が急速に増加してきています。しかし、我々人類が真に知らねばならないのは、人類進化の道筋それ自体ではなく、そのような進化の起こった理由です。この問題は知識の蓄積量が増えるのに反比例して、むしろ混迷の度を増しています。人類進化の道筋で起こった現象をただ記述していくだけでは、決して進化の理由にはたどり着けません。人類進化を本質的に理解するには、個々の現象をつなぐ縦糸となる理論が必要です。これには、数理モデルを用いて普遍的にあてはまる理論を見つけ出すことが重要です。本シンポジウムでは、人類進化に関連する様々な現象の数理モデル研究を紹介し議論していくことで、人類の進化をもたらした理由を探るとともに、理論研究の有用性についても明らかにしていきます。

文責:中橋渉(明治大学)