*Abstract*
◆ 稲葉寿(東京大学)

 個体群レベルでの感染症流行は感染者という特殊な自己再生産する個体群(人口)のダイナミクスとして理解できる。そこでの最も基礎的な認識関心は、それまで感染者が存在しなかった人口ないし生物集団に感染者が発生した場合に、それが感染者数の持続的な拡大(流行あるいは侵入)を引き起こすのか否か、長期的に感染者が常在するような定常状態や周期的な流行がどのような条件でおきるのか、流行を根絶するためにはどのような介入行為が有効であるか、等の問題である。本講演では感染症数理モデルを理解する上で最も重要な概念である基本再生産数とそれによる閾値原理、根絶条件への応用等について述べる。