*Abstract*
◆ 岩見真吾(科学技術振興機構 さきがけ)

 1997年、初めて、香港で、ヒトへのH5N1型の鳥インフルエンザの感染が確認された。以来、現在まで、特に、アジアを中心に様々なタイプの鳥インフルエンザ感染が報告されている。2009年、世界を巻き込んだH1N1新型(豚)インフルエンザとの決定的な違いは、その低い伝播率である。鳥インフルエンザは、人 社会では、効率よく感染を広げることができなかったのである(従って、世界的流行は確認されていない)。また、比較的低い死亡率を示している豚インフルエンザと対照的に、鳥インフルエンザに感染した患者は、感染後、非常に高い致死率を示すことが知られている。もし、鳥インフルエンザが人社会で効率よく伝播する能力( ヒト‐ヒト感染)を獲得すれば、豚インフルエンザを遥かにしのぐ新型ウイルスの出現が予測される。本講演では、鳥インフルエンザがヒト‐ヒト感染能を獲得した時に、その流行を最小限に抑えるためには、どのような政策が有効か?ということについて、数理モデルを用いた現在までの私の研究を中心に議論していく。