*Abstract*
◆ 守田智(静岡大学)

 従来の感染症流行の数理モデルでは、集団内の感染源保有者と未感染者が一様に接触することを仮定して常微分方程式によって記述されることが多い。また空間的な感染の拡大を 見る場合には偏微分方程式モデルや格子モデルが用いられている。しかし、社会関係のネットワークは一様ではないし、2次元的な実空間にのみ既定されるわけでもない。社会ネットワークのよく知られた性質として任意に選んだ2人が友人関係をたどっていくことによってわずかな人数で結びつくというスモールワールド性がある。特に性的関係については、接触した人数が冪分布に従うスケールフリーネットワークになっていることも指摘されている。また旅客機の航空網やインターネットでも同様の性質がみつかっている。このような性質を持つネットワークは複雑ネットワークと総称され、近年盛んに研究されてきた分野である。本講演では複雑ネットワークの理論について概観した後、そのネットワーク上の感染流行モデルについての解析結果を紹介する。