* Abstract*
◆ 尾又一実(国立国際医療センター研究所)

 この講演では、感染症の観測的研究と数学的研究、双方の視点から感染症流行の研究について概観するが、研究会の主旨を考慮して、観測的研究の方に比重を置いてお話する。また、この研究分野についてまだ詳しく知らない方にも理解しやすいよう、深く掘り下げることはしないで広範囲のトピックを取り上げる。数学的研究を志す研究者にお伝えしたいのは次の3点である。(1)感染症の被害が大きい地域である東南・南アジア、アフリカ、南米などの現状を専門家から聞いたり、できれば現地を見に行くことをお勧めする。(2)疫学、生物(医療)統計学の専門家は、感染症数理モデルの研究者を大いに助けてくれるので、友好な関係を築いておくと得られるものは非常に多い。(3)感染症のマクロな問題もミクロな問題も、数理モデルで捉えることは興味深いが、他の研究分野と同様に、ミクロな問題はマクロな問題を説明しなければならない(検証可能でなければならない)。