*講演内容*
◆ 竹本和広(JSTさきがけ)

 竹本氏は「代謝系の形成ダイナミクス ―ネットワーク理論からのアプローチ」と題し、代謝系とくに二次代謝系のネットワーク構造に適応進化が色濃く反映される事をモデルを用いて明らかにした。
 具体的には、生育温度によって植物の代謝ネットワーク構造が異なる現象に焦点を絞り、独自のネットワーク生成モデルを用いそのような代謝ネットワーク構造の違いが表れる原因が温度にある事を明らかにした。竹本氏のモデルの特徴は優先的選択ルールに基づきハブノードが出来るだけでなく、ネットワーク生成過程において、既存のノード間にショートカットパスを生成する点にある。これら2つの特徴はパラメータpとqにより制御され、実際の代謝ネットワークに対応させるならば、生育温度に関係するパラメータである。このモデルは2つのパラメータpとqを実際の代謝ネットワークデータから決定できる。
 竹本氏は実際のネットワークデータからパラメータを推定し、次数分布とクラスター係数を測りモデルと実際の代謝ネットワークデータと一致する事を示した。この事は、代謝ネットワークが生育温度に適応して進化した事を示唆する結果である。

文責:木下修一(明治大学)