*講演内容*
◆ 守屋央朗(岡山大学)

 守屋氏は「細胞システムのロバストネスを測る~酵母をモデル系として~」と題し、遺伝子網引き法(gTOW法)という独自の実験手法を用いて細胞システムのロバストネスを測る事に成功した。
 具体的には以下のとおりである。まず、細胞システムのロバストネスを測る量として、細胞が死ぬ臨界値の遺伝子発現量と定義した。出芽酵母の多コピー型プラスミドDNAに活性の低いロイシン合成酵素(leu2d)を組み込み、同時に目的の遺伝子も組み込む。この出芽酵母をロイシンの無い培地で培養すると、leu2dの数が多ければ多いほど生育にとってプラスなので、プラスミドのコピー数が増える方に選択が掛かる。一方、プラスミドのコピー数が増え過ぎると目的遺伝子の数(発現量)が高まり過ぎ細胞が死ぬ事になる。つまり、leu2dと目的遺伝子の綱引きの釣り合いが取れた所にプラスミドのコピー数が落ち着く事になる。活性化の低いleu2dを組み込んだ所に、守屋氏のオリジナルなアイデアがある。
 この手法により、酵母の細胞周期に関わる30個の遺伝子を調べた結果、臨界値の低い遺伝子群が周期変動ダイナミクスの根幹を担う遺伝子群である事を見つけた。守屋氏はこの事からダイナミクスとロバストネスの間にトレードオフの関係があると推測している。

文責:木下修一(明治大学)