*講演内容*
◆ 藤本仰一(大阪大学)

 藤本氏は「空間パタン形成の遺伝子ネットワーク進化理論」と題し、遺伝子発現の空間パタンをもたらすネットワーク構造を遺伝的アルゴリズムを用い構成し、そのネットワークの特徴を明らかにした。
 具体的には節足動物の胚発生過程において現れるストライプ上の遺伝子発現パタンをネットワーク構造を絡めた反応拡散方程式でモデル化して計算機実験により調べた。特に短胚型と長胚型の遺伝子発現パタンが異なる原因をネットワーク構造の違いに還元し、それらのネットワーク構造の違いの特徴がnegative feed-back loop(短胚型)とFeed-Forward loop(長胚型)にあることを示した。また、遺伝子発現パタンにとって重要なコアネットワークを同定し、短胚型ではコアネットワークが小さく長胚型ではコアネットワークが大きいことを見つけた。この事から、ネットワーク構造に摂動を加えた場合短胚型の遺伝子発現パタンは長胚型の遺伝子発現パタンよりも安定であることを示した。
 本研究はネットワークの進化により短胚型、長胚型の発現パターンを持つ遺伝子ネットワークが必然的に現れることを示唆している。

文責:木下修一(明治大学)